【2022年】明石のイカナゴが不漁で高騰?原因は水質?調査結果を分かりやすく徹底解説!

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どうも、ヒカリblogへようこそ。

皆さんイカナゴをご存じでしょうか?

春の訪れを告げる魚であり、兵庫県の明石や神戸、大阪湾にかけて取れる小魚です。

イカナゴの釘煮は明石周辺では有名で、2~3月にかけては各家庭で作っているため醤油の香りが町中でしています。

そんなイカナゴですが、近年不漁で値段が高騰しています。

なぜ不漁なのか、何が原因なのか、どんな対策が打たれているのか。

ニュースや他のブログには無い学術的な情報も分かりやすく解説しています。

というわけで、本記事ではイカナゴが不漁となった原因と現時点の対策について紹介していきます。

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春告げ魚:イカナゴとは?

まずは、イカナゴがどんな魚か知っていますか?

画像のような、透き通った魚をイメージする方が多いと思います。

実際、食用で出回っているのは稚魚サイズで釘煮に適したサイズです。

その生態は、以下のように知られています。

イカナゴは北半球の寒帯域から温帯域を中心に熱帯域まで、沿岸部に5属18種が分布し、主にプランクトンを食べる魚で最大20cmにもなる。産卵期は12~5月である。

引用:wikipedia

スーパーで売られている大きさは生まれたばかりの稚魚であり、1年で10cmとなり、3~4年で最大20cmにもなります。

産卵期が冬であるため、釘煮に適したサイズの稚魚が食べられるのも冬~春先にかけてとなります。

それゆえ、春を告げる魚と言われているのです。

2022年:イカナゴの値段

さて、2022年のイカナゴの値段はどの程度なのでしょう。

2022年3月2日時点でスーパーに並んでいたイカナゴは1kgあたり2800円でした。

シーズン初期であることもあり、この値段でも昼過ぎには売り切れていました。

これは安いのか、はたまた高いのか。

ここ数年は1kgで最大5000円、安くて4000円だったので今年は比較的割安と言えるでしょう。

とはいえ、1kg:1000円以下の時代を知る人達からすれば高級魚ですね。

明石で朝から並ぶ人がいることで有名な、魚の棚での価格は以下の通りです。

解禁日である3月1日時点だと魚の棚で1kg:3000~4000円。3月2日時点で2000円とのことです。

引用:明石たうんず

イカナゴ:高騰の理由

2022年シーズンスタート時の値段は2000~4000円でしたが、なぜ高いのか。

高くなったのは割と最近で、2010年後半よりイカナゴの値段が恐ろしいほど高騰しています。

具体的に、2000年代は1キロ=800円程度だったものが、2010年後半は1キロ=5000円まで急騰しました。

もはや気軽に買えるような値段ではないですね。釘煮用のイカナゴを餌にして穴釣りをしていたのが懐かしいです。

では、なぜこんなにも高騰してしまったのか。

理由は歴史的な不漁です。

歴史的不漁で魚が獲れない

引用:兵庫県HP(いかなご漁について)

上の画像は直近のイカナゴ漁の漁獲量を表したグラフになります。

平成29年までは漁獲量:1万~2万トンを推移していましたが、ある年を境に漁獲量が激減しています。

具体的に、平成30年には1001トンなので、平成29年(11082トン)に比べて10分の1以下の水準まで漁獲量が減っています。

漁獲量の低下は平成21年(3309トン)にもあり、前年の4分の1以下でしたが翌年以降には持ち直しています。

よって、直近4年間のような漁獲量の激減が続くのは昭和45年の統計以来初めてとなります。

これだけ不漁に苦しんでいるため、我々消費者の元に届く際には数千円という高値になってしまっているのです。

イカナゴ:不漁の原因

直近4年間が過去の漁獲量の10分の1以下という大不漁ですが、原因は何なのか。

原因さえ分かれば対策して、イカナゴの数を増やし漁獲量も挙げられますからね。

有力視されているのは、「水質が綺麗になりすぎた」です。

しかし、これだけを書いては他のブログと大差ないのですよね。

そんなのつまらん。

という訳で、当ブログでは学術文献を読み漁って一歩踏み込んだ記事を書いていきます。

原因とされているのは以下。

・水質が綺麗になりすぎた
・海水温の上昇
・直近3年のイカナゴは痩せている
・産卵数の減少

水質が綺麗になりすぎた

まずは、最もニュースやブログで取り上げられている理由「水質」に関してです。

一言でいえば、「海が綺麗になりすぎた」ことが原因とされています。

どういうことか。

かつての瀬戸内海はプランクトンが豊富で赤潮と呼ばれる「プランクトンの異常増殖」があるほどでした。

プランクトンは魚の餌となりますが増えすぎると、海中の酸素濃度を下げてしまい魚が酸欠で死んでしまいます。

具体的な被害で言うと、1972年に起きた「養殖しているハマチが全滅」したといったところ。

その原因となるのが「富栄養化」。下水施設の糞尿や工場排水から流れ込んだ窒素やリンが多くなりプランクトンの餌が増えすぎる現象です。

餌が豊富にある=プランクトンが増える=赤潮が発生する=魚が死ぬ。

この流れを絶つために兵庫県が行ったのが、窒素やリンを減らす環境保全活動です。

引用:第41回豊かな海づくり大会(豊かな海とは)

下水の排水処理設備を最新にしたり、工場排水を規制することで海に栄養素が流れないようにし、水質を改善したのです。

そして画像の通り、過去に比べて赤潮の発生量を3分の1以下にまで抑えることに成功しました。

しかし、これは皮肉なことにプランクトンの数が減り、魚が育たず、イカナゴも減ってしまった。という証拠になりつつあります。

海水温の上昇

2つ目に考えられているのが、海水温の上昇です。

具体的には、海水温上昇により特定のプランクトンが増加し溶存無機窒素濃度が低下することです。

少し難しいので簡単に言うと、今まで少なかったプランクトンが増えて海中の栄養を食べすぎてしまった、です。

つまるところ、水質が綺麗すぎて栄養素の貧しい海になるということですね。

イカナゴは冬場に孵化・成長するので、冬場にスポットを当てて解説していきます。

1990年以降、瀬戸内海の海水温度は上昇しつつあり冬場の水温は7℃以上となっています。

これにより、水温5℃程度では増殖できなかったユーカンピアという植物性プランクトンが冬場でも増殖できる様になりました。

このプランクトンは7℃以上で増殖速度が一気に上がり、他のプランクトンと比べて水中の窒素を効率的に吸収する能力があります。

つまり、冬場の海水温上昇により窒化物を食べるプランクトンの種類が増え、しかも大食漢なので海の栄養素がさらに貧しくなったのです。

これにより冬場に成長するイカナゴの稚魚の餌(動物プランクトン)が少なくなり、昔よりも餌を沢山食べている個体が減少しています。

引用:兵庫県農林水産技術総合センター

また、このプランクトンが増える影響はイカナゴだけでなく、貧栄養化により冬場の海苔養殖の色落ちが増加するという被害が現実的に起こっています。

このように、海水温上昇による影響もイカナゴに関係していると考えられますね。

イカナゴが痩せて産卵数減少

ここまで海の貧栄養化について解説しましたが、それに伴いイカナゴが痩せています。

直近10年間の調査により、年々夏場のイカナゴの肥満度が低下していることが判明しました。

その原因を探ると、イカナゴが成長する2~6月にかけて餌となる動物プランクトン(カイアシ)の数が昔よりも減少していました。

イカナゴの痩せ細り具合とプランクトンの減少には相関性があることも報告されています。

引用:兵庫県立農林水産技術総合センター(植物プランクトンとイカナゴから見た瀬戸内海の変遷と現状)

つまり、「餌のプランクトンが減ったためイカナゴが痩せ細っていた」ということになります。

さらに、イカナゴは一定の肥満度でなければ卵を産む数が減ることも確認されています。

栄養が少ないと卵の数が減るのも当然ですよね。

具体的な数字を挙げると、約30年前と比べて産卵数が70%まで減少していることが調査で判明しています。

よって、

水質改善による貧栄養化→プランクトンの減少→イカナゴの親魚が痩せる→産卵数が減る→不漁

となるわけです。

ここまで3つの原因について紹介しましたが、いずれもプランクトンの減少が影響しています。

どれがクリティカルな影響を及ぼしているかは分かりませんが、海の貧栄養化が進んでいるのは間違いありません。

行政の対策

この問題に対して、兵庫県はどのような対策をしているのでしょうか。

主な対策として、平成27年の10月に「瀬戸内法」が改正されました。

この瀬戸内法は、1972年に赤潮被害でハマチが全滅したことを契機に作られた法律です。内容としては、水質改善して海を綺麗にしようというものです。

この法律により水質は改善され、赤潮の発生数も激減したのですが、海の栄養素が減ってしまい漁獲量の激減という事態に直面しています。

改正により、「栄養塩類管理制度の導入」がなされて各自治体がリンや窒素の目標値を定めることができるようになりました

引用:環境省

つまり、従来の「水質の綺麗な海」から「栄養豊かな海」を目指すように方針転換がされました。

工場排水や下水処理場の規制を調整することで、海の栄養素を高めようとしているのが今現在の主な活動となります。

2022年以降のイカナゴ漁の見通し

2022年以降のイカナゴ漁の見通しについて。

2022年もイカナゴは不漁であることが予測されています。

しかし、令和2~3年を見比べると10倍程度回復しており直近5年間では第2位です。

令和4年(2022年)の漁獲量が去年よりも上回れば、少しずつ回復傾向にあると考えてよいでしょう。

ただ、急激な回復になるとは考えにくいので、イカナゴの値段はしばらく2000円以上が続くと思われます。

兵庫県の対策が実を結び、数年後には気軽にイカナゴを購入できることを祈るのみです。

参考文献

今回、記事を書くにあたり参考・引用した文献を紹介します。

イカナゴの研究は色々な考察がなされているので、中々面白いです。皆さんも見てみてはどうでしょう。

①兵庫水産技術センター
豊かな瀬戸内の再生を目指して
植物プランクトンとイカナゴから見た瀬戸内海の変遷と現状

第41回豊かな海づくり大会(豊かな海とは)

まとめ

今回はイカナゴの値段や不漁である原因について記事にしました。

2022年も不漁と予測されていますが去年に比べれば1000円以上イカナゴは安くなっています。

それでも3000円前後するため昔に比べれば高いですが・・・

釣りにも関係しますが、瀬戸内海の貧栄養化が進むと魚の数が減るので、行政の対応に期待したいですね。

タコも不漁ですが、その原因についても記事にしています。

では、今回はこの辺で!

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