・ライオンの業績について
・株価&配当の推移
・株主優待の内容
・株価が下落した理由
・株価が安い理由
ライオンと聞けば、キレイキレイやシステマなど日頃お世話になっている製品を思い浮かべるかと思います。
そんなライオンですが、株価はコロナ後も下落しているのが現状です。
株価が下落した理由は何か。なぜ安いのか。
・コロナ特需の反動で業績悪化
・原材料高による採算悪化
・競争激化による費用増
・本社移転費用で採算悪化
本記事では、ライオンの業績や株価、株主還元、株価下落の理由などについて解説します。
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ライオン株式会社とは
ライオンと聞けば、ほとんどの人が知っているほどのメジャーな企業です。
しかし、会社の規模や具体的な事業内容を知っている方は少ないと思います。
投資する前に会社のことは知っておきましょう。
会社の規模
まずは会社の規模について以下の表にまとめました。
ライオン株式会社は、1918年に設立され100年以上の歴史ある企業です。
売上額は約3898億円で日用品業界の第2位に位置しています(引用:バフェットコード)。
社員数は約7600人の大所帯で、東証プライム市場に上場している一流企業です。
上場 | プライム市場 |
資本金 | 約344億円 |
設立 | 1918年 |
売上額 | 3898億円 |
社員数 | 7,587人 |
事業内容
続いてはライオンの事業内容について。
主なセグメントは3種類あり、一般消費材と産業用品、そして海外事業です。
売上構成比としては、一般消費材が最も高く、続いて海外事業、産業用品となります。
それでは、個別に見ていきましょう。
一般消費材事業
まずは一般消費材事業です。
一般消費とあるように、私たちの身近にある商品を指します。
具体的には、歯磨き粉やハンドソープ、洗濯用洗剤、台所用洗剤、バファリンなどの薬品関係です。
特に、歯磨き粉(システマ)やハンドソープ(キレイキレイ)は業界シェアNo.1を勝ち取っている看板商品です。
売上構成比の60%以上を占める、ライオンのメイン事業となります。
~一般消費材事業~ |
・歯磨き粉やハンドソープ、洗剤など該当 |
・業界シェアNo.1の製品多数 |
・売上構成の約60%を占めるメイン事業 |
産業用品事業
2つ目が産業用品事業です。
一般消費材とは異なり、企業向けの製品群となります。
具体的に、タイヤのゴム薬剤や電子製品の粘着剤、その他業務用の洗剤やアルコール製剤などを取り扱っています。
この他にも、野菜洗浄システムなども手掛けており幅広く事業を行っています。
産業用品事業の売上構成比は約10%となります。
~産業用品事業~ |
・一般向けではなく企業向けの製品 |
・業務用洗剤以外にも化学品を取り扱う |
・売上構成の約10%を占める |
海外事業
3つ目が海外事業です。
その名の通り、ライオンの製品を海外へ展開している事業となります。
主な販売先は韓国や中国を含む東南アジアです。
売上構成比は約30%であり、今後の展開に期待が寄せられます。
~海外事業~ |
・韓国や中国を含む東南アジア地域に展開 |
・各国でシェアNo.1を多数獲得 |
・売上構成の約30%を占める |
ライオンの売上&営業利益について
次はライオンの業績について。
業界No.1シェアの製品を多数展開しているライオンの業績はどうなのか。
株価が低迷している原因は、まさにこの業績にあります。
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売上の推移
ライオンの売上推移をグラフにしました(参考:IRBANK)。
売上は緩やかながら右肩上がりであり、成長軌道に乗っています。
コロナ禍のハンドソープ需要やその後の値上げ対応、円安効果により連続増収を達成しています。
2024年も増収の見込みであり、5年連続増収となるか今後が期待されます。
当期利益の推移
ライオンの当期利益の推移をグラフにまとめました(参考:IRBANK)。
2020~2023年の当期利益は右肩下がりであり、利益面で苦しんでいます。
これは、世界的なインフレに伴う原材料高や円安による採算悪化が原因です。
2023年においては新商品の販売数が計画未達による影響で減益となっています(参考:決算短信)。
2024年に関しては増収増益を見込んでおり、反転攻勢が期待されます。
ライオン:株価の推移
ライオンの株価を見ていきましょう。
コロナ禍による衛生用品の需要増がありましたが、株価はどう反応したのか。
結果として、コロナ禍は好調もそれ以降は不振に陥っています。
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コロナ禍:ハンドソープ特需で高騰
ライオンの株価チャートを掲載しました(引用:Googleファイナンス)。
ご覧の通り、コロナ禍直後は株価が下落したものの、すぐに反転しているのが分かります。
具体的に、日経平均は3月に入って20%下げましたがライオンは11%の逆行高となっています。
ライオンは2020年に起きたコロナによるハンドソープ特需で純利益が4倍にも跳ね上がりました(引用:朝日新聞)。
これにより株価も反応し、コロナ禍にもかかわらず株価は上昇しました。
~コロナ禍は好調~ |
・衛生用品特需でコロナ禍でも好調 |
・2020年はハンドソープ特需で純利益4倍 |
・コロナショックでも11%の逆行高 |
2023~2024年:株価は下落が続く
2021年以降の株価チャートを掲載しました(引用:yahooファイナンス)。
ご覧の通り、2023年以降は株価が下落しています。
ライオンの営業利益は年々落ちており、原材料高・競争激化などの影響をモロに受けることで減益となっていることが原因です。
今後の見通しが不透明であることや、コロナ特需の反動による業績減を懸念して株価が低迷する形となっています。
~2023年以降:株価下落~ |
・2023年以降は株価の下落が続く |
・原材料高や競争激化による減益懸念 |
・業績相場で株価が上がりにくい |
株だけに頼らずポートフェリオを幅広く
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ライオンの株主還元について
ライオンの株主還元を見ていきましょう。
株主還元とは、配当金や自社株買い、優待品の配布などが代表的です。
ライオンの場合、これら3つを全て実施しています。
配当銘柄狙いで投資をしたい方は、こちらの書籍で投資術について詳しく書かれていますので参考にどうぞ。
配当金の推移
ライオンの配当金の推移をグラフにしました。
ご覧の通り、毎年増配が実施され2023年は1株あたり27円の見込みとなっています(参考:配当方針)。
増収減益にもかかわらず、配当は増配基調であることから株主還元に積極的であることが分かります。
配当性向は30%を目安としており、無理のない範囲で配当金を実施しているため減配リスクを避けながら投資できるのが魅力です。
配当利回りの推移
ライオンの配当利回りをグラフにしました(参考:IRBANK)。
ご覧の通り、配当利回りは右肩上がりで2024年時点で約2%となっています。
増配幅が小さいため、単純に株価が下落したことで配当利回りが上がっています。
連続増配が実施されていますが、配当銘柄としては魅力度が低くなっています。
自社株買いの実施
ライオンは2022年に上限100億円の自社株買いを発表しました(引用:かぶたん)。
中期計画において、資本効率の向上と株主還元の充実を図る資本政策を掲げています。
今回の自社株買いでは、自己保有株を除く発行済み株式総数の2.3%にあたる657万8900株もの株式を買い付けました。
配当だけでなく自社株買いも実施することで、株主還元を積極的に行っていることが分かりますね。
~自社株買いの推移~ |
・2022年に100億円規模の自社株買い |
・株主還元の充実が資本政策方針 |
株主優待の内容
ライオンは株主優待を実施しており、上の画像のような詰め合わせセットが送られます。
2023年の優待は、クリニカやシステマ、キレイキレイ、トップ、ルックプラス、チャーミーの詰め合わせが予定されています(参考:ライオンHP)。
株主優待を受けるには、ライオン株を100株以上保有することが条件です。
~ライオン:株主優待~ |
・株主優待は日常品詰め合わせセット |
・優待ゲットには100株以上の保有が必要 |
ライオン:株価が下落した原因
ライオンの株価について。
ライオンの株価はなぜ下落したのか。
・石鹸需要のコロナ特需が終了
・原材料高による業績悪化
・競争激化で採算悪化
・本社移転費用計上で採算悪化
コロナ後の石鹸需要の剥落
株価下落の1つ目の理由として、コロナ後の石鹸需要の剥落です。
コロナ禍により衛生製品が絶好調でしたが、コロナが落ち着くことで売上への反動が大きかったです。
この他、コロナ用に備蓄人気のあったバファリンなどの薬品類の落ち込みが業界全体で目立ちます。
ライオンの場合、ハンドソープの需要減が想定以上であり2021年には純利益が約56%下がりました(参考:日用品化粧品新聞)。
~コロナ特需の剥落~ |
・コロナ特需の反動が業績直撃 |
・2021年には純利益が約51%減少 |
原料高による業績悪化懸念
株価下落の2つ目の理由として、原料高による業績悪化懸念です。
コロナ禍以降、世界的な物価高による原材料の高騰が2024年時点でも続いています(参考:日経新聞)。
この影響により、2023年1-6月期決算では純利益が6割減少しています。
2023年の下期に関して、会社想定通りの業績見込みとの発表がされています。
~原材料高の影響~ |
・2024年も世界的な物価高の継続 |
・原材料高で純利益6割減少 |
・価格引き上げで影響吸収を狙う |
競争激化で採算悪化
株価下落の3つ目の理由として、競争費用の増加による採算悪化が挙げられます。
2023年11月決算において、ライオンの業績は増収でしたが純利益が約半減しています(参考:決算短信)。。
この原因が柔軟剤ソフランが不振であり約10億円影響。
さらに海外事業において競争が激しく、宣伝等の費用が想定よりも増加してしまいました。
先行投資した商品の資金回収が遅れ、海外事業の採算悪化を嫌気され、株価は10%以上の下落となりました。
~採算悪化で株価下落~ |
・2023年11月時点で純利益半減の見込み |
・ソフランと海外事業の不振が原因 |
・株価は1日で10%以上の下落 |
本社移転費用で減益
株価下落の4つ目の理由として、本社移転費用の計上が挙げられます。
2023年上期決算において、本社移転費用の計上により純利益が減少しています。
移転費用は5-6億円程度と発表しており、純利益の6%程度に相当します。
原料高や競争激化などに加えて本社移転費用が加わることで純利益は前年比で約48%も減少。
一時的とはいえ、マイナス材料と捉えられ株価は下落する結果となりました。
~本社移転費用の計上~ |
・2023年に本社移転費用を計上 |
・移転費用は5-6億円で純利益の6%相当 |
・一時的なマイナス材料として株価下落 |
ライオン:株価はなぜ安い?
誰もが知る企業であり、シェアNo.1も多く海外展開もしているライオン。
にもかかわらず、なぜ株価は安いのか。
コロナ特需の反動とはいえ、下げ過ぎではないか?
その答えは、国内需要の頭打ちと配当利回りの低さが原因です。
国内需要の頭打ち
一つ目の理由が、国内需要の頭打ちです。
ライオンの売上の60%は一般消費材事業であり、主に国内向けのセグメントです。
ヒット商品や新商品を連発しても、日本国内の需要には限界があります。
特に、近年は人口減少や物価高による節約志向が根強く、日用品の価格競争が激しいです。
日本国内は現在13四半期連続の需要不足、つまりデフレ傾向にありライオンに限らず厳しいのが現状です(参考:日本経済新聞)。
~国内需要の頭打ち~ |
・ライオンは売上の60%が国内向け |
・人口減少により成長性が見込めない |
・日本国自体が13四半期連続の需要不足 |
配当利回りが低い
2つ目の理由として、配当利回りが低いことが挙げられます。
さて、ライオンの配当利回りは約2%であり、配当銘柄としての魅力は低いのが現状。
2020年以降から増配されているとはいえ、投資家にとっては低水準です。
参考までに、日経平均採用銘柄の平均配当利回りは約2.2%なので、ライオンは平均以下となります(参考:日本経済新聞)。
~配当利回りが低い~ |
・ライオンの配当利回りは約2.0% |
・増配傾向も配当利回りは低水準 |
・日経平均の平均配当利回りは約2.2% |
・配当銘柄としては魅力度低い |
競合に遅れシェア率の低下
3つ目の理由として、シェア率の低下が挙げられます。
洗濯用洗剤市場において、花王・P&G・ライオンは業界3強。
その中で、ライオンのシェア率は2016年に19.3%、2021年に14.7%へ低下しています(参考:東洋経済)。
花王やP&Gが新製品でシェアを伸ばす中、ライオンは一歩遅れているのが現状です。
シェア率の低下は業績や成長性の鈍化というマイナス材料であるため、株価は安くなっています。
~シェア率の低下~ |
・ライオンの洗濯洗剤シェアは低下 |
・2021年にシェア率は19.3→14.7%へ |
・シェア率低下は業績や成長性の鈍化へ |
まとめ
本記事では、ライオンの業績や株価、株主還元、株価下落理由などについて解説しました。
ライオン自体は誰もが知るメジャー企業であり、ヒット商品も多数ある一流企業です。
しかし、コロナ特需の反動や原材料高による業績への影響が大きく、増収減益が続いています。
配当は増配基調も、配当利回りは平均以下なので配当銘柄としての魅力も弱いのが現状です。
これらにより、株価は下落しています。
今後は、海外展開を積極的に行うことで成長路線を突き進むことが課題と言えるでしょう。
株価は世界市況にも左右されるので、自己責任で注意しながら投資を行いましょう。
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