どうも、ヒカリblogへようこそ。
みなさんアナゴを食べたことってありますか?私の住む地域ではアナゴ丼のお店が結構あります。
食べたことは無くとも、細長く50cmはあろうかというサイズのアナゴが水族館の塩ビ管に大量に入っているのを見たことはあるはず。
テレビでは恵方巻の季節に紹介されていることが多いですね。
そんなアナゴはどれくらいの年月で稚魚からあの大きさになるのか気になりませんか?
釣りをしている人は魚の知識として、水槽で飼育しようと思っている人は成長速度を知っておくのは大切です。
しかし、ググってみてもまとめられているサイトはありません。そこで、今回文献を色々見て調べました。
似た記事として、メバルの成長速度と飼育方法について記事にしていますので参考にどうぞ。
アナゴの生態
アナゴは、ウナギ目アナゴ科に属する魚類の総称。ウナギによく似た細長い体型の海水魚で、食用や観賞用で利用される種類を多く含みます。
数としては30以上の属と150以上の種類がいることが知られています。
水族館で人気のチンアナゴもマアナゴの仲間になります。
一番メジャーなのはトップ画像のマアナゴであり、浅い海の砂泥底に生息しています。だからこそ防波堤で釣れるわけですね。
アナゴは夜行性
アナゴの習性として、昼間は海底の砂泥中や岩石のすき間にひそんでいます。砂泥底に生息する種類は集団を作り、巣穴から頭だけを出しています。
水族館の塩ビ管から頭を出しているのが良い例ですね。
そんなアナゴは夜になると泳ぎ始め、餌を探します。食性は肉食で、小魚や甲殻類、貝類、ゴカイなど幅広い生き物をターゲットとしています。
参考までに、夜の海釣りで釣れた魚をスカリで海中に活かしておくとアナゴに食い散らかされることがあります。釣りをする人は注意しましょう。
マアナゴのサイズ
成長速度は検索しても中々出てきませんが、サイズに関しては比較的簡単に見つけられました。
オスが40cm、メスが90cm程度まで大きくなります。メスの方が大型化するようです。
これを裏付けるものとして、有名な播磨灘の伝助穴子は60cm(300g)以上のメスのマアナゴを指すとされています。
ちなみに、漁獲される通常の大きさのアナゴは40cm(200g)になります。
本ブログではアナゴ釣りの釣果情報を記事にしていますが、確かに大きくても40cm弱がほとんどです。
マアナゴの成長速度
さて、では本題へ移りましょう。
マアナゴは年単位でどの程度成長するのかです。
マアナゴは孵化してからすぐにアナゴの姿になるのではなく、レプトケファルスという形態をとります。
この形態では海底で生活するのではなく、海中を浮遊する形で生活しています。
これが成長してマアナゴの姿になると考えて下さい。
レプトケファルス期
最初に、アナゴの産卵場所は明確でないため、この形態の成長速度は解明されていません。
ウナギと同じ時期に産卵されるのであれば12月に孵化して日本近海に漂流するはずです。
現時点で分かっていることとして、日本近海に1~5月頃に来遊します。この時点ではまだ浮遊生活を送っており、水温11度以上で生息していることが知られています。
変態期
変態とは、その名の通り「形態を変える」、つまりカブトムシで言うところの蛹→成虫の変化にあたります。
アナゴの場合は、海中浮遊のレプトケファルスからアナゴの形への形態変化となります。
5~6月前半を中心に変態し、期間としては20日程度になります。この時の水温は15℃が適していることが分かっています。
沿岸地域の砂底に生息し、食性は動物性プランクトンや海底に住む甲殻類、ゴカイなどの多毛類が挙げられます。
稚魚期
変態を終えてアナゴと同じ形(稚魚)になった時点で、孵化してから10か月程度。
ここからはかなり正確に成長速度が調査されています。
変態期が終了して8月に入ると平均75mm前後まで大きくなります。
10月には86mm、12月には100mmとなって越冬します。
翌年5月には110mm、7月には125mmとなり、約1年間で40mm程度成長します。
12月から翌年5月までの間にあまり成長していませんが、これは低水温のため成長が阻害されるためとされています。
成長期
先ほどの稚魚期から一気に成長していくのが成長期にあたります。7月時点で125mmで約13cmだったものが恐ろしいスピードで大きくなります。
8月で20cm
10月で26cm
11月で29cm
翌年2月で30cm
5月で35cm
この勢いだと、1年で約15cmのスピードになります。稚魚期と同じく冬場は成長速度が遅いので水温が関係しているのでしょう。
孵化してから約3年で40cm近い個体に成長します。オスのマアナゴの大きさが40cmとされているのでオスは3年で成長が止まるわけです。
メスはここからさらに大きく成長して90cmまで育ちます。ただ、これ以降の成長速度に関するデータが無いため上限が90cmという表現になります。
この成長速度を察するに、アナゴ釣りをしているときに20~40cmとサイズのバラツキがあるのは2年魚と3年魚が混在しているためと考えられます。
小さいアナゴはリリースして、次の年に倍の大きさになって帰ってきてもらいましょう。
まとめ
今回はマアナゴの成長速度について記事にまとめました。
レプトケファルス期~成長期と分けられてはいますが、釣り人目線でいえば20cm級は2年物、40cm級は3年物と思えば良いでしょう。
1年で20cm近く大きくなるので成長速度は比較的早い部類になります。
飼育しようと思うなら、成長速度はかなり早いので最低でも40cmまでは大きくなると想定することです。肉食なので魚の切り身などをあげましょう。
成長の一覧表を作成しましたので参考にしてください。
もし10cmくらいのアナゴを飼育していれば、餌の量にもよりますが1年で30cmくらいまでは大きくなる形になりますね。気を付けましょう。
同じく身近な魚であるアジの成長速度はこちら。
参考文献
今回の記事を執筆するにあたり、参考にした文献を載せます。
①海岸工学論文集 第50巻 土木学会1151-1155
題:大阪湾 におけるマアナゴの分布移動特性 と生息地適性評価モデル
著者:中村義治 氏(ファーストオーサーのみ記載)
②Bulletin of the Japanese Society of Scientific Fisheries Vol. 26, No. 1, 1960
題:マアナゴの生態学的研究-Ⅰ 成長について
著者:伊佐良信 氏
では、今回はこの辺で。